天岩戸


【古事記005】世界が闇に!太陽神アマテラス、衝撃の引きこもり事件の真相

日本の神話『古事記』。その中でもトップクラスに有名な「天岩戸(あまのいわと)」伝説。太陽の神様が洞窟に引きこもっちゃう話、と知っている人は多いでしょう。しかし、その引き金となった事件が、ハリウッド映画も真っ青の、恐ろしくて悲しい内容だったことはご存知でしょうか?

今回は、女神アマテラスがガチで心を閉ざしてしまった、その一部始終を詳しく見ていきましょう。

事件の首謀者:嵐の神スサノオ、大暴走

この大事件の犯人は、アマテラスの弟である嵐の神・スサノオノミコト。彼は姉が治める美しい天上の世界「高天原(たかまがはら)」で、やりたい放題の限りを尽くしていました。

田んぼのあぜ道を壊したり、神殿でウンチをしたり…数々の悪行を働きながらも、姉のアマテラスは「きっと何か理由があるはず…」と、弟をかばい続けていたのです。しかし、そんな姉の優しさが、最悪の事態を招いてしまいます。

悲劇のクライマックス:神聖な機織り小屋での惨劇

ある日、アマテラスは神々のための神聖な衣を織らせるため、「機織り小屋(はたおりごや)」にいました。そこは、汚れを知らない乙女たちが、静かに機(はた)を織る神聖な工房です。

そこへ、またしてもスサノオが登場。彼はなんと、生きたままの馬の皮を逆剥ぎにするという、残虐の極みのような行為に及びます。そして、その血まみれの馬体を、あろうことか機織り小屋の屋根を突き破って、中に投げ込んだのです!

その様は、まさに映画『ゴッドファーザー』のベッドシーンを彷彿とさせる、衝撃的な光景でした。

突然の惨劇に、中で働いていた織女(はたおりめ)の一人は心底驚き、パニックに陥ります。そして、不幸なことに、転んだ拍子に機織りの道具である「梭(ひ)」が体に突き刺さり、アマテラスの目の前で息絶えてしまったのです。

弟を信じ、かばい続けた結果がこれでした。神聖な場所は血で汚れ、大切な部下は無残な死を遂げる…。あまりのショックと悲しみ、そして弟への絶望に、アマテラスの心は完全に折れてしまいました。

太陽、隠れる。そして世界は闇へ…

「もう、何も見たくない…」

そう思ったアマテラスは、高天原にある「天岩戸(あまのいわと)」と呼ばれる洞窟に隠れ、固く扉を閉ざしてしまいます。これが、かの有名な引きこもり事件の始まりです。

天岩戸をイメージした洞窟のイラスト

アマテラスは太陽の神。彼女が隠れてしまったことで、天上も地上も、世界から完全に光が失われました。永遠の夜が訪れ、作物は枯れ、病気が蔓延。闇に乗じて、数多の邪神や妖怪たちが我が物顔でうろつき始め、平和だった世界は、一瞬にしてスラムのような無法地帯と化してしまったのです。

この未曾有の大ピンチに、他の神々は一体どう立ち向かうのか?世界に光を取り戻すための、奇想天外な作戦が、ここから始まります。

続きは、また次回の講釈で!