
【古事記】天地開闢!イザナキとイザナミの壮大な国生み神話
日本の神話やルーツを語る上で欠かせない書物、『古事記』。そこには、まるで壮大なファンタジー映画のような、神々のドラマが繰り広げられています。今回はその冒頭、日本の国土がどのようにして生まれたのか、その驚くべき物語を覗いてみましょう!
すべては天上の世界から始まった
物語の舞台は、遥か天上の世界、高天原(たかまのはら)。まだ世界に形がなく、すべてが混沌としていた時、そこに最初の神様が「成りました」。
その記念すべき第一号の神の名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。宇宙の中心を司る、究極の神様です。続いて高御産巣日神(タカミムスビノカミ)、神産巣日神(カミムスビノカミ)という生成を司る神々が生まれ、この三柱の神は「造化三神(ぞうかのさんしん)」と呼ばれ、姿を見せない特別な存在でした。
その後も、次から次へと個性豊かな神々が生まれてきます。そして、神々の世代交代が進んだ末に、ついに物語の主役が登場します!
運命の神コンビ、イザナキとイザナミの誕生!
最後に生まれたのは、キラキラと輝くような兄妹神。
男神伊邪那岐命(イザナキノミコト)と、
女神伊邪那美命(イザナミノミコト)です。
先輩の神々は、この若き二柱に、とんでもないミッションを授けます。
つまり、「まだぐにゃぐにゃで不安定なこの世界を、ちゃんとした国として完成させなさい!」という壮大な指令でした。そして二柱に、神々しい矛、天沼矛(あめのぬぼこ)が手渡されたのです。
最初の島「オノゴロ島」をつくる
指令を受けたイザナキとイザナミは、天と地を繋ぐ天浮橋(あめのうきはし)に立ちます。そして、授かった天沼矛で、眼下に広がる混沌とした世界を「こをろこをろ」とかき混ぜました。
矛を引き上げると、その先端から滴り落ちた潮が積もり、一つの島が生まれました。これが、記念すべき最初の国土、淤能碁呂島(おのごろじま)です!
世界初の結婚式!…と、まさかの失敗談
自分たちで作り出した島に降り立った二柱は、結婚して国生みを始めることにします。まず、島の中心に立派な天之御柱(あめのみはしら)を建て、結婚の儀式を執り行いました。
イザナキが左から、イザナミが右から柱を回り、出会ったところで声を掛け合います。
しかし、ここでちょっとしたハプニングが!先に声をかけたのは、女神であるイザナミでした。
イザナキ:「あなにやし、えをとめを(ああ、なんて素敵な女性なのだろう!)」
こうして結ばれた二柱でしたが、最初に生まれた子供は、骨のない水蛭子(ヒルコ)でした。この子は葦の船に乗せられ、流されてしまいます。次に生まれた淡島(あわしま)も、ちゃんとした島とは見なされませんでした。
悩んだ二柱が神々に相談すると、「女性から先に声をかけたのが良くなかった」との神託が。そう、古代の儀式では、男性から誘うのがルールだったのです!
いざリベンジ!大八島国の誕生
二柱はオノゴロ島に戻り、今度はイザナキから声をかけ、儀式をやり直します。するとどうでしょう!今度は次々と立派な島々が生まれていきました。これが「国産み」です。
彼らが産んだ「大八島国(おおやしまのくに)」、つまり日本の原型となった島々は以下の通りです。
- 淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま) – 淡路島
- 伊予之二名島(いよのふたなのしま) – 四国
- 隠岐之三子島(おきのみつごのしま) – 隠岐諸島
- 筑紫島(つくしのしま) – 九州
- 伊伎島(いきのしま) – 壱岐島
- 津島(つしま) – 対馬
- 佐度島(さどのしま) – 佐渡島
- そして最後に、大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま) – 本州
こうして、私たちが住む日本の国土の骨格が、二柱の神によって生み出されたのです。まさに、壮大でドラマチックな創世記ですね!
国生みを終えたイザナキとイザナミは、次に「神産み」へと移り、森や海、風といった自然を司るたくさんの神々を生んでいきます。しかし、そこには悲しい別れが待っているのでした…。その話は、また別の機会に。
参考にしているとても分かりやすい古事記の書籍です。是非、ご覧になってください。

